投資顧問って誰でもなれるものなの?

投資家に対して投資判断を提供する投資顧問は、少ない労力で大きな収入を期待できる職業であり、密かに人気が高まりつつある職業です。インターネットの普及によって設立費用の劇的な低下と、顧客層の拡大が期待できることから、今後の成長期待が大きい職業でもあります。今回は、投資顧問をはじめるために必要なものを見てみましょう。
投資顧問業とその内容
投資顧問とは、富裕層や個人投資家などの投資家を顧客として、投資家の投資判断について助言し対価を得る職業です。日本では金融商品取引法に基づいて財務局へ登録された金融商品取引業者のうち、特に投資助言業あるいは投資運用業をおこなう金融機関を除いた個人・企業が対象です。投資顧問業は大きく「投資助言業」と「投資運用業」に分けられ、投資助言業が投資判断に関する助言までを認められているのに対して、投資運用業は投資家と一任契約を結んで実際の運用までを担当する点が異なります。
投資顧問業をはじめるために必要な資格
投資家の投資判断に対する助言を主とする投資顧問業ですが、実際にはじめるためにはどのような資格が必要となるのでしょうか。実は投資助言業をはじめるために必要な資格はなく、所定の登録を済ませることで誰でも投資顧問をはじめることができます。
具体的な登録内容を見てみると、
- 投資助言・代理業に関する投資情報を分析・判断・助言できる知識者がいること
- 投資助言・代理業務を取扱う実施体制が確立されていること
- 必要な費用を納めること
があげられています。
注意したいのは上記の条件を満たせば誰でも登録できるわけではないことです。登録を拒否できる「登録拒否事由」に該当するものが1つでもあると、その条件を改めなければ登録ができません。
登録拒否事由としては、登録申請者や法人の役員、もしくは重要な使用人のいずれかが、
- 成年被後見人若しくは被保佐人又は外国の法令上これらと同様に取り扱われている者
- 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者又は外国の法令上これと同様に取り扱われている者
- 一定の犯罪により一定の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又はその刑の執行を受けることがなくなった日から所定の期間を経過しない者
- 過去に登録・認可を取り消されてから5年を経過していない者
- 他に行う事業が公益に反すると認められる者
- 未成年者
に該当しているケースです。
どのくらいの費用がかかるのか
このように登録ができればだれでもはじめられるのが投資顧問業の特徴ですが、登録申請には一定額の費用がかかります。
費用の内訳を見てみましょう。
投資顧問業をはじめるためには財務局か財務事務所で登録申請する必要があります。登録申請は登録免許税法の課税対象であり、登録免許税として15万円の納付が必要です。
さらに投資助言・代理業では、登録後に営業保証金として500万円の供託が必要となります。法人として登録を受けるのであれば、会社設立にかかる各種手続きや費用も発生するため、この費用も無視できない金額になります。
設立・登録後も、投資顧問業により運営される一般社団法人に加入することがすすめられています。社団法人に加入するには、投資助言・代理業者として加入する場合は20万円、投資運用業者として加入する場合は100万円の入会金の支払いも必要です。
投資顧問設立のときに弁護士や行政書士などの法律の専門家に作業や手続きを依頼すると、その報酬の支払いも欠かせません。
投資助言・代理業の登録手続きであれば費用の相場としては20万円から35万円程度、投資運用業の登録手続きは投資助言・代理業の2倍から3倍程度が相場と言われています。
おわりに
資格業ではなく登録業であるため、比較的はじめるハードルが低い投資顧問ですが、実際にはじめるためには少なくない費用がかかります。少ない労力で大きな収益が期待できるものの、設立にはかなりの費用がかかるので、思いつきではじめるのはそれほど現実的ではないといえそうです。
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